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ナチュラルコスメの成分辞典

ミルラ(没薬 モツヤク)


インド産のミルラ

「ミルラ」、「ミル」、「没薬 モツヤク」など、国によって呼び名が違います。

アラビア語のmurrを語源としています。苦い味という意味があり、その名のとおりミルラを口に含むと、強い苦みがあります。

ギリシャ神話の登場人物、ミュラに由来した名前という説もあります。 キプロスの王女ミュラは女神アフロディテの怒りを買い、父であるキニュラス王を愛してしまうという呪いを受けます。

顔を隠し素性を偽ったミュラとキニュラス王は恋に落ちます。ほどなく、相手が娘ミュラであることに気づいた王は、泣く泣くミュラを殺そうとします。

しかし、神々の助けでミュラは1本の木に変えられます。この木が流す涙がミルラであるというお話。ちなみにミュラは子供を身ごもっており、木の裂け目から子供を産み落とします。それが絶世の美少年アドニス。この少年に、女神アフロディテが恋してしまい、悲劇的な結末となります。人を呪わば…ですね。

ミルラは、アフリカ北東部、スーダン、エチオピア、ソマリアなどが原産の、カンラン科の樹木から採取された樹脂から作られています。

ミルラ樹脂の見た目は、石のカケラが粉がふいたよう。産地によって色も大きさも違い、色は薄い黄色〜濃い茶色、サイズはごろごろとした塊状から、大きめの砂粒状までといろいろです。

イエス・キリストが産まれたときに、東方の三博士から贈られた品物としても有名です。ちなみに贈り物は3品で、残りの2品は「黄金」と、同じカンラン科の植物から採取する香料「乳香 ニュウコウ」です。

ミルラ(没薬)の利用法

古代から香として焚く方法で使用されてきました。温かみのあるスモーキーな香りに麝香の印象が混じる、やや重めの香りです。

ミルラを水蒸気蒸留した エッセンシャルオイル は、 アロマテラピー で使用されています。しわ、湿疹、老化肌、外傷などに効果があるとされています。吸い込むことで、呼吸器系への作用や、無気力な気持ちを落ち着かせてくれる作用があるとも言われています。

殺菌、鎮静、鎮痛などの作用があり、薬としても利用されてきました。 古代エジプトでは、ミルラの殺菌効果をミイラ作りに利用していた事が分かっています。これが転じてミイラの語源となった、という説明をよくみかけますが、それは間違い。

まず、乾燥遺体をミイラと呼ぶのは日本だけです。エジプトの公用語であるアラビア語では「Mumia ムミヤ」、英語では「mummy マミー」です。さらに言えば、古代エジプトではミルラは「プン」、乾燥遺体は「サァエフ」と呼ばれていました。

「日本では、なぜ乾燥遺体をミイラと呼ぶのか?」という意味でなら、もしかするとミルラと乾燥遺体は関係があるかもしれません。ミルラはポルトガル語で「mirra ミイラ」。乾燥遺体はポルトガル語で「mu´mia ムミヤ」。これが混同され、乾燥遺体がミイラと呼ばれるようになってしまったのでは?という説があります。香料ミルラも、乾燥遺体も、共に漢方薬の原料として使われていたので、信憑性のある話です。

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