日本名は「乳香 ニュウコウ」。英語名はフランキンセンス、またはオリバナムです。
紅海沿岸など暑く乾燥した気候で育つ、ムクロジ目カンラン科ボスウェリア属の樹木から採取した樹液です。(ムクロジってどんな植物?詳細はコチラ)
木の幹に傷をつけ、しみ出た乳白色の樹液を集めます。樹液が空気に触れると、黄色い樹脂のような塊になります。オイルはフランキンセンスの固まりを、蒸留するか、溶剤で溶かし出して作ります。
イエス・キリストが産まれたときに、東方の三博士から贈られた品物としても有名です。ちなみに贈り物は3品で、残りの2品は、「黄金」と、同じカンラン科の植物から採取する香料「没薬 ミルラ」です。
フランキンセンスは、古代からさまざまな国で、それぞれの神にささげる宗教儀式に使われてきました。それだけに、とても神秘的な印象の香りです。スモーキーでスパイシーな香りに、軽い酸味のあるフルーツ香がほんのり混じります。
採取される地域によって少しずつ香りが異なり、最も上質なフランキンセンスは、オマーンやイエメンなどで採取される「ボスウェリア・サクラ(Boswellia sacra)」です。
かなり古くから、香として焚く方法で利用されてきました。紀元前4000年頃に使われていた記録が残っているそう。
日本でも、平安時代にはすでに、香の材料としてフランキンセンスが使われていました。光源氏のような貴公子が、フランキンセンスの香りを衣装にたきしめていたのかも?
また、昔は漢方薬としても利用されており、鎮痛剤や止血剤などに処方されていました。
近年では、 お香として利用される他、香水や コスメ に配合されたり、アロマテラピーのエッセンシャルオイルとして利用されています。期待される効能は、呼吸器系への作用、肌の引き締め、リラックス効果など。
ちなみに、最高級フランキンセンスの生産地であるオマーンでは、フランキンセンスの塊をガムのように噛んで食べるそうです。口の中がさっぱりして、いい香りの息になるのだとか。
注意
食用とお香用の品質は違うのか?など分からない点もあるので、安易にマネしないでくださいね。