グミ科、ヒッポファエ属の樹木です。「ヒポファエラムノイデス Hippophae Rhamnoides」は学名で、日本では「サジー」と表記されることが多いです。中国語の沙棘(サジーもしくはサジと読みます)が語源。ちなみに英語では「シーバクソン Seabuckthorn」です。
枝には固くて長いトゲ、葉は細長く灰色がかっていて、いかにも丈夫そうな姿の木です。サジーの木には銀杏のように雄株と雌株があります。雌株は受粉すると、9〜10月頃に小指の先ほどの大きさの実をつけます。
グミの実のような、プヨンとした質感の実で、色は赤やオレンジなど何種類かあります。サジーの実は酸味が強いので、そのまま食べるよりは加工して食べることが多いです。
サジーは暑くても寒くても育つ、とっても強い樹木。砂漠地帯でも育つほど乾燥に強いのですが、湿気にはやや弱いようで、日本に気候にはあまり向かないようです。
私の実家でサジーを栽培しているのですが、写真のように、枝いっぱいたっぷり実ることはあまりないです。しかも、サジーの収穫はとっても大変!トゲの奥にある小さな実を摘むので、痛いし、手間はかかるし、ジュースにして売る量を収穫するなんて、想像しただけで気が遠くなります。
※トゲのない品種もあるそうです
スウェーデン人の知人から聞いたところによると、サジーを収穫する専門の器具があるのだそう。実がなった枝をそのままギューッと挟んで果汁を絞る機械や、掃除機のように実を吸い取る機械など。
日本では馴染みの薄いサジーですが、欧米では健康食品として人気があるそうで、ジュースやジャムにして食べます。サジーにはビタミン、アミノ酸、ミネラルなどが豊富に含まれています。
中でも特徴的なのは、エネルギー代謝を助けて疲労を軽減させたり、アンモニアを体外に排泄して神経を守る働きをする「アスパラギン(酸アミノ酸の一種)」をたくさん含んでいること。
他にも、強い抗酸化作用のある「フラボノイド(水溶性ポリフェノールの一種)」、炎症を防ぐことでアレルギー症状を緩和する作用のある「αリノレン酸(不飽和脂肪酸の一種)」、活性酸素を取り除く作用のある「スーパーオキサイドディスムターゼ(酵素の一種)」など、多くの有効成分を含んでいます。
また、サジーの実から採取したサジーオイル(サジー油)には、抗炎症効果、皮膚再生効果などがあることから、化粧品としても利用されています。ヴェレダのヒッポファンシリーズ、オーブリーのシーバクソンシリーズ、ドクターハウシュカ、ラヴェーラ、バジャーなどなど。サジーオイルはその高い効果から、海外メーカーの化粧品ではおなじみの原料となっています。